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離婚後の養育費不払いについて

  • 執筆者の写真: 正明 たかひら
    正明 たかひら
  • 2016年3月9日
  • 読了時間: 5分

離婚後、どこの国も養育費の不払いがあるのは、同じ悩みのようです。 各国の比較を紹介します。 養育費の不払い対策、各国の仕組みは 子どもと貧困:朝日新聞デジタル 2016年3月7日05時04分 中塚久美子 丑田滋 河合真美江 http://www.asahi.com/articles/ASJ32627LJ32PTFC011.html より

日本  共同養育責任の原則なし

合意内容への裁判所の関与・・・裁判所での取り決め(判決・調停)や公正証書がある場合のみ、履行勧告・強制執行(賃金・預貯金・不動産などの差し押さえ)ができます。

私は、離婚の際には口約束などでなく、お互いの合意文書のお手伝いをさせていただいた後、その約束を公正証書で残しておくことをおすすめしています。 それは、もし不払いになった際、裁判所が間に入って約束したものや、公正証書以外では、 調停や裁判をして、払ってもらうような約束をするか、判決を勝ち取り、その上で支払いがなければ、強制執行するしか手段がないからです。 そのような手間と時間がかかる前の予防として、行政書士の腕の見せ所と言えます。 厚生労働省に よる全国母子世帯等調査では、83年から養育費が調査項目に入り、この時「現在も受け取っている」という人は11.3%で、最も受け取っている割合が高かったものでもは98年の20.8%です。

ようやく2000年代に入り、福祉政策に「養育費の確保」が入ったものの、行政の関わりは家庭裁判所の利用手続きを助言し、裁判所での解決を後押しする程度にとどまっています。 つまり、養育費は自己責任で確保せよ、ということです。 このような現状にあるのは、養育費は家族内の問題という認識が強く、行政は直接関わることを避けてきたからです。

主要先進国では行政が代わりに立て替えたり、相手方からの徴収をしてくれたりしています。  子どもの生活費に関わる重大な問題だからです。 基本的には、どの国も「共同養育責任の原則」(日本はなし)、「合意内容への裁判所の関与」はあります。   特徴的な養育費の制度を抜粋します。 アメリカ  行政による徴収(賃金天引きなど)非同居親の捜索、税還付金からの相殺 応じなければ制裁もありますが、実際に徴収できているのは約6割。

●米アリゾナ州に住む自営業の男性(59)の話  私たちには娘がいて、当時14歳でした。養育費を決めた法的書類を含め、離婚申請を裁判所に出し、認められれば離婚となります。  争う意思はなかったので、ミディエーターという法的仲介人に書類作成を依頼。  2001年に離婚しました。

 アリゾナ州では、子どもの高校卒業まで養育費を払う責任が課され、夫婦の所得により養育費が割り当てられます。  不払いになると裁判所に通告されて 記録され、例えば交通違反などの取り調べで発覚すると、逮捕されることもあります。  離婚申請後45日以内に、子どもに与えるストレスを学ぶ授業を受けた修了証を提出しないと、法的手続きは進められません。

フランス  国税徴収官による公的取り立て  家族支援手当(立て替え)

ドイツ  最低扶養料(養育費)が省令で定められ、払われない場合は児童手当と合算して立て替え給付

スウェーデン   養育費扶助手当(立て替え) 強制執行庁による徴収 実際徴収率は約100% オーストラリア  父母共に養育者とみなし、所得や子の生活・年齢・経済情勢から算定 払われない場合は源泉徴収

韓国  「共同養育責任の原則」は、共同も可で△ 2回以上払われなければ、相手の勤め先などから直接受け取り可能 履行管理院が相談と徴収を受け持ち、申請を受けて相手の住所、財産や所得を調査、協議成立から取り立てまで支援します。 国による一時支援(最長9か月間、子ども一人につき20万ウォン=約1万9千円) このように行政支援が得られない日本への以下の提言には、「ごもっとも!」とうなづいて、早く「離婚調停書や公正証書がなければ離婚届を受理しないことにし、取り決めを離婚の条件にすべき」としてほしいところ。

●名古屋市副市長・岩城正光さん(61)   約30年弁護士をしています。

 養育費を取り決めない人が多すぎます。

 養育費について書かれた離婚調停書や公正証書がなければ離婚届を受理しないことにし、取り決めを離婚の条件にすべきです。

 単独親権も問題。一方を親権者にするため、もう一方に養育の義務がないかのよう な錯覚を与え、養育費の不払いにつながっている。  変えたほうがいいと思います。

 親権は「権利」ではなく「義務」ととらえるべきです。

 どちらも法改正が必要で時間がかかるでしょう。  ただ自治体にも支援できる方法はあると思います。支払いがなくて生活に困窮している場合やDVで取り立てようがない場合は立て替え、債権譲渡を受けて取り立てる仕組みならできると思います。  一方で、面会交流も大事です。

 私は5歳の時に両親が離婚しました。  父親に引き取られ、母親に再会したのは27歳。父親とは違う太った体形にコンプレックスを持っていましたが、母親を見て、「自分のルーツはここにあったんだ」と気が楽になり、自分を受け入れられました。

 名古屋市の調査では、養育費を受け取っている母子家庭の7割弱で面会交流が続いていた。  養育費の方が優先順位は高いですが、できれば面会交流と一体で考えるべきです。  離婚の時は別れることに精いっぱいでしょうが、子どもに関することは冷静に考えてほしいですね。


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